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理学療法の知識と基礎 病院・クリニック・介護施設の勤務を経て辿りついた思いです.

足部と歩行の運動学           

接地の完成期

下肢を前方に振り出して接地しようとする時、足関節は屈筋の作用で、中間位もしくは軽度屈曲位になっている。足部は、足部は足底弓蓋の後方支持点である踵によって接地し、その直後、下腿に押されることで、足関節は他動的に伸展し足部全体が接地する。

最大接地期

 足底は荷重面全体で接地する。そして、他側肢によって推進力を得た体幹は、支持脚の直上を通過して、前方へと進む。この時、足関節は伸展位から屈曲位へと他動的に変化し、全体重が足底弓蓋にかかり、弓蓋の平坦化が起こる。この弓蓋の平坦化は足底筋の緊張帯作用で、同時に制限を受ける。これがショック吸収の第1段階である。平坦化することで弓蓋の長さがわずかにのびる。この運動の初期には前方支持点がわずかに前方へのび、最終段階では前方支持点が体重で強く地面に固定されるために、後方支持点である踵が後方へのびる。下腿が足部の垂直上方にきた時、足底の接地面積が最大になる。

能動的推進第1

この時、体重は支持前足部にかかり、足関節伸筋、とくに下腿三頭筋の収縮によって踵が上がる。足関節が能動的に伸展している間に、足底弓蓋は前方支持点を軸として、回転する。体幹は上昇して、前方へ移動する。これが推進の第1期で、強力な筋の作用に依存していることが重要で、このとき、足底弓蓋は、前部で接地し、後部に筋が作用して、中間に体重がかかっているが、もし足底の緊張帯がなければ弓蓋は、平坦化してしまう。これがショック吸収の第2段階で、このとき、下腿三頭筋筋力の一部が推進運動の最終段階で一気に発揮できるように蓄えられている。さらにこのときは体重が前足部にかかるため、前部アーチは平坦化し、前足部は地面に固定されている。

能動的推進第2期

下腿三頭筋による推進力に続いて、足趾屈筋の収縮による第2の推進力が生じる。これは主に短母趾屈筋、母趾外転筋と内転筋、長母趾屈筋の作用でおこる。ここで足部は再度前方へ持ちあがり、その時は前部足根骨では支持されておらず、第1〜3趾、なかでもとくに母趾によって支持されている。これが支持の最終段階になっている。推進運動の第2期で、足底弓蓋は足底の緊張帯、なかでも足趾屈筋の作用によって平坦化に対抗し、この段階で緊張帯に蓄えられたエネルギーが、一気に放出される。その後、足部は地面を離れ、反対足に立脚相が始まる。このように両足は非常に短い期間だけ一緒に接地している。この期間を両足支持期という。そして次の段階の反対側による支持期では、足底弓蓋は地面を離れ、遊脚相に入り次の立脚相に入るまでの間に、元の状態に戻る。この繰り返しによって歩行を行っている。